創刊号表紙

No.1(昭和45年6月)

特集:

住みよいくらしのために

毎日のしあわせへ 明るい環境 住みよいくらしのために

快適な暮らしの充実へ

 神戸市政の三つの柱は、ひとつが「しあわせなくらしをつくる市政」と、第二は「ゆたかなあすをひらく市政」そして第三が「みんなで話し合う市政」です。しかしこの三つはバラバラにあるのではなく、私たちの生活を考えても毎日のしあわせと将来の夢がとけ合ってはじめて本当の幸福感が味わえるように、「きょうのしあわせをつくる市政」と「ゆたかなあすをひらく市政」はどちらに片寄ることなく、それをわけることのできない問題として調和させなければ意味がありません。と同時に市政はあくまで市民のためのものですから、それらの行政を進めていく上で、まず行政が市民の中にとけ込み、ともに話し合い、ともに考え、理解し合うことが必要です。ですからこの三つの柱は、大きな一つの輪の中でからみ合っているわけですが、やはりそれぞれに持ち分というものはあります。そこで今回は「しあわせなくらしをつくる市政」に焦点をあてて、みなさんと考えることにしました。

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核家族化とともに世帯数は増加の一途
市営住宅も高層化していきます

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49年度中に全市100%舗装をめざして工事は進んでいます

四つの基本

 市政の基本は市民みんなの毎日のくらしをしあわせにすることです。いい方を変えると、憲法第二五条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっている"権利"を、どのように守るかということでしょう。
 そこで、私たちの都市における生活を考えてみますと「住む、働く、守る、育てる」の四つに分けられるのではないでしょうか。「住む」には住宅をはじめ下水道や全戸給水の問題、また公園なども完備して、くらしの快適性が求められます。「働く」の面では、通勤や輸送のための道路、鉄道の整備、そして電車やバスの混雑度をもっとなくすとか、職場の環境とか余暇利用の施設の充実や整備も必要です。また「守る」では災害、公害、交通戦争から市民を守る対策や消防、救急の体制づくり。つまり市民の安全性をいかに大切に守るかということを考えなくてはなりません。そして「育てる」は教育はもちろん五歳児の全員入園や保育、保健衛生の充実と、一方では文化的なレベルアップの施策などが含まれます。

不足住宅八万戸

 まだほかにも各項目にはいろいろな施策があるわけですが、このような日々のくらしにつながる行政の中で特に市が重点を置いている施策としては、たとえば住宅については現在まだ八万戸ぐらいが市内で不足しています。これは核家族になったことと、生活にゆとりができるとダレしも住宅環境を良くしたいと思うのは当然で、核家族については戦前人口が一〇〇万人の時は二〇万世帯であったのが、現在は一二七万人で三八万世帯です。つまり人口は三七%しかふえていないのに、世帯数は九〇%もふえている勘定になり、市が少々がんばってもなかなかこれに追いつけないのが実情です。
 この八万戸の不足を公的住宅四割、民間建設六割とみて、公的住宅のうち市が受持つ分を三分の一とみると約一万戸になり、これを五ヵ年計画で達成しようとことしの予算では二、二〇〇戸を組んでいます。また市の住宅供給公社がつくる賃貸住宅についても世帯構成に応じて大きさや間取りに変化をもたせる工夫もしています。

四年計画で完全舗装

 次に道路の一〇〇%舗装については、市街地の舗装は現在八〇%まで進んでおり、残り二〇%を昭和四八年度までの四年計画で実現する計画です。西北神の舗装も現在はまだ一六%ぐらいの舗装率ですが、残りの八〇数%を五ヵ年、つまり四九年度までに完成させる構想で、このため、ことしの道路舗装予算は昨年の一一倍になっています。

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明るく開放された夜間の校庭。みんな楽しく健康づくりに利用しています

保育所施設を充実

 それから市政に対する新しい市民の要求として保育所問題があります。市としてもこれに対応するため公立の保育所建設に力を入れることにし、新たに五ヵ年計画を立て初年度分の予算をすでに組んでいます。現在、市内の母子家庭その他共かせぎ夫婦などでぜひ保育所に入れたいという対象児は約一万人とみられ、この一万人の人たち全部の希望にそえるようにするためには、現在の公私立あわせた定員約五、六〇〇人の残り四、四○○人を収容する保育所が必要です。

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朝、夕のラッシュ緩和も大きな課題です

一〇〇%水洗化も

 また都市の環境、衛生の根本である下水道も、現在の三〇%余の普及率を五一年度までに一〇〇%水洗化へもっていくため、ことしは四一%にまで引き上げる予算を組み、すでに着々と工事を進めています。同和地域の環境改善は、国の同和対策措置法が一〇年の時限立法でできたので神戸市でもこれにあわせ、住宅の改良や道路、下水の整備、あるいは生活援助、就職指導など、これらの関連予算は昨年のちょうど四倍、二四億円となっています。

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"災害の町"の汚名返上に災害パトロール隊も活躍しています

"三分救急"実現へ

 このほか学校の問題、社会保障の問題、また新しい児童手当は一五才以下で第三子以降の子どもにつき、ある基準を設けて月額二、〇〇〇円を、秋ごろから支給する予定ですが、これは国の施策に先がけて市が行なうものです。その他、現在は火災現場へ消防車が到着するのに一〇分〜一五分かかっているのを五分以内、そして救急車は一刻が人命にかかわることですから"三分救急"ということで、三分間で現場へ到着できるよう消防署、分署の新設、配置替えを行ないます。
 その他、青少年のための施設づくりなどまだたくさんあるわけですが、このような「しあわせなくらしをつくる市政」を実行に移す方法として、神戸市では生活環境基凖要綱案をことし一月につくり、これを"たたき台"として四月に生活環境基凖審議会を設けて各界各層の市民に委員を委嘱し、すでに本格的に検討してもらっています。ここで、一つ一つの施策を四年とか五年、また長いものになると一〇年というような計画を立て、これを市民のみなさんにも十分知っていただいた上で、着実に実現したいという考えです。

めざす"真の対話"

 この生活環境基凖は、ゆたかなあすをひらく市政の土台になっている市の総合開発基本計画(マスタープラン)と同様、しあわせなくらしをつくる市政のいわば努力目標です。そこでこれまでの行政の進め方をふり返ってみますと、これまでもさきに挙げたような施策をやっていなかったわけではなく、各局がそれぞれ計画を立て、たとえば住宅にしろ、保育所にしても建設を進めてきました。しかしその過程で、これまでのように、単に行政サイドのプランとして、とめおくことなく、事前に市民のみなさんに、十分お知らせし、ご理解をいただく努力が必要だと考えられます。
 近く審議会によって要綱が決まれば積極的にこれをお知らせし、みなさんと一緒になって実現へ努力します。そしてもしできないとか遅れるような場合があれば、その理由なり原因をまずみなさんに説明して納得が得られるよう努力をします。このようにしてはじめて、そこから本当の意味での市民と行政の"対話"がはじまるわけで、生活環境基準の設定にはその一面でこのような大きい意義があることを、ぜひ理解していただきたいものです。

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