143号表紙

No.143(昭和59年8月)

特集:

85ユニバシアード神戸大会まであと1年

感動のゴールイン!'83エドモントン大会で10,000mに優勝した米重修一選手(左端)=競技写真は「1967年夏季/1968年冬季ユニバーシアード大会報告書」・「1977ユニバーシアード夏季競技大会報告書」・「1979ユニバーシアード夏季大会報告書」・「1983/ユニバーシアード夏季大会報告書」財団法人日本体育協会(編集・発行)より抜粋
 
写真
右ページ:
上段:男子高跳び決勝・片峰隆選手('79メキシコ大会)
下段右:高飛込みで金メダル獲得・有光洋右選手('67東京大会)
下段左:男子バレーボール準決勝リーグ('79メキシコ大会)

左ページ:
上段:華やか開会式('83エドモントン大会)
中段右:柔道・軽中量級で優勝、山崎裕次郎選手('67東京大会)
下段右:水球チームの熱戦('77ソフィア大会)
下段左:銀メダル獲得で喜ぶ日本バレーボールチーム('79メキシコ大会)

21世紀の担い手が主役 神戸ユニバーシアード
ユニバーシアード組織委員会
事務局報道部長 菅原 靖郎

 輝かしい記録と多くの話題を残してロサンゼルスオリンピックは幕を閉じた。
 世界のスポーツ界の目は、1年後に迫ったユニバーシアードの開催地"神戸"にそそがれはじめた。
 ポートアイランドに近代建築工学の粋を集めた多目的なワールド記念ホール(大会時・体操、バレーボール会場)をはじめ神戸市西郊の総合運動公園陸上競技場(開・閉会式。陸上、サッカー決勝)など選手達の晴れ舞台となる施設は順調に完成、あるいは完成を目前にして、それぞれ見事な全容を見せている。
 ユニバーシアード前年祭(8月24、25、26日)と平行して始まった全日本大学サッカートーナメント、全日本大学バレーボール女子選手権大会等々のリハーサル競技会も競技運営の訓練を兼ねて相ついで開催され、1年後の大会に向けて万全の体制をととのえつつある。

国際的なスポーツビッグエベント

 「学生のオリンピック」と言われる国際的なスポーツビッグエベントのユニバーシアードもオリンピックに比べれば一般的な関心、知名度ともまだまだ低い。しかしユニバーシアードは次の時代をその肩に担う世界の大学生が主役のスポーツの祭典である。次の時代―間近に迫つた21世紀―の担い手たちの集いなのである。そうした意味でスポーツを通して、21世紀の担い手たちが友情を結び合う神戸大会の意義は極めて大きい。

ユニバーシアードのあゆみ

 ユニバーシアードの歴史は1923年(大正12年)パリの学生競技大会にはじまる。この大会は1939年まで9回開催され、日本は1928年パリ大会初参加以来選手を派遣して、わが国の学生スポーツの進歩向上に寄与してきたが国際情勢の悪化から大会は中断。第2次大戦後は東西両陣営が別々の学生競技大会を開催していた。しかし1957年、東西の学生競技会の一本化が合意され、1959年のトリノ大会からユニバーシアードの名称のもとに開催され今日に至っている。この間1967年には東京で開催、神戸大会は日本で2度目の開催となる。
 神戸大会では、FISU(国際大学スポーツ連盟)規則により、陸上、水泳、水球、バレーボール、バスケツトボール、フェンシング、体操、テニス、サッカー、柔道の10競技が来年の8月24日から9月4日まで実施される。(サッカーのみ8月22日開始。) この大会には、いまのところ100か国から5000人の参加者があるものと予想されている。
 参考にトリノ大会以来の開催地と日本学生選手のメダル獲得数をあげてみよう。
(日本体育協会・各大会報告書による)

  開催地 参加国 参加人員 日本選手
'59 トリノ 43 985 19 2 2 3
'61 ソフィア 32 1,270 67 8 4 5
'63 ポルトアレグレ 27 713 47 9 4 5
'65 ブタぺスト 39 1,728 88 5 0 2
'67 東京 34 1,286 243 21 17 26
'70 トリノ 58 2,808 83 3 7 5
'73 モスクワ 73 3,786 97 3 8 1
'77 ソフィア 85 4,395 125 5 5 1
'79 メキシコシティ 94 4,381 149 1 3 7
'81 ブカレスト 85 4,377 162 3 2 2
'83 エドモントン 76 4,462 181 2 3 6
'85 神戸            
          62 55 63
  • 写真まばゆいばかりの完成間近いワールド記念ホールの内部。各種の運動競技のほか、音楽コンサート、講演会、ショー、展示会などに幅広く利用できる多目的ホールである
  • 写真仲良く並ぶポートアイランドスポーツセンター(プール、スケートリンク)とワールド記念ホール(写真中央左手)。空を切るシャープなトンガリ帽子風の屋根と、片や女性的で緩やかなワールド記念ホールの屋根との対比がおもしろい

日本チームは最強メンバーで全種目参加の方針

 神戸大会組織委員会(会長 稲山嘉寛・経団連会長)はFISU規則にそって、本年5月、FISU加盟国とIOC(国際オリンピック委員会)と加盟国合わせて155ヵ国に神戸大会への参加招請状を発送した。国別の参加申込み締切りは来年月だが、招請状を受け取った国の中には参加の意向を伝えている所もあり好意的反響がとどいている。
 JUSB日本ユニバーシアード委員会も招請状を受けたその日ただちに委員会を招集、代表選手団編成の基本方針を協議した。
 その結果、日本代表としてふさわしい資質をもち国民の期代待に応えうる選手の中から最強力メンバーで編成する方針を確認するとともに、選手選考の基準として、十分に勝機があり少なくとも8位以内人賞の可能性のある選手を対象とすることを決定している。さらに好成績をおさめた東京大会(表参照)と同様に、ホストカントリーとしての自覚と責任のもとに神戸大会の全競技種目に参加することも了承された。一方競技団体の中には、すでに候補選手を決定し海外遠征で技量の向上につとめているところや強化合宿を実施しているところもあり、大会への強い意気込みが、ひしひしと感じられる。
 大会まであと1年。とは言うものの、関係者にとっては秒読みの段階に入ったといっても過言ではない。

  • 写真オーロラビジョン操作室
  • 写真最新の機器を備えたホールの音響調整室
  • 写真ホールの多目的利用に対応するため、スタンド上の固定席(3,572席)のほかに、必要に応じて舞台や可動席(1,936席)が電動式でアリーナ面に出し入れできるようになっている
  • 写真山間に伸びる神戸山麓バイパスを上空から望む。前方に名谷団地、神戸総合運動公園が見える
  • 写真神戸総合運動公園陸上競技場の正面入り口
  • 写真

    市営高速鉄道総合運動公園駅と陸上競技場を結ぶ園路の造成工事

    写真トラック・フィールドは40Om・8コースのほか、メインスタンドとバックスタンド側の両方に110m直線コースがあり、風向きのいかんを問わず競技ができるようにしている。いずれも全天候型ウレタン舗装

  • 写真

    競技、報道関係者などのゾーンとなるメインスタンド1階

    写真バックスタンドは周辺の地形と調和させ、観客席から樹木が見えるよう植栽されている
  • 写真競技者と観客が親近感を持つよう、トラック・フィールドと観客席をできるだけ近づけたこともこの競技場の大きな特徴。また、トラック・フィールドの外周全部にダッグアウトをとり、スムーズな大会運営を図つている
  • 写真空から見た神戸総合運動公園テニス場(左手前部分)。写真中央南北に白く流れているのが一の子川で、川をはさんでテニス場の北東部、須磨ニュータウン名谷地区とほぼ隣接して陸上競技場が見える。テニス場は、センターコートを囲むように計16面のコートがゆつたりと配置されている
  • 写真常設2、500人の観客席をもつセンターコート。コートの表面は人工芝と粒度調整砂を使つた全天候型表面舗装材(オムニコート)を使用しており、比較的弾力性があり競技者の肉体に負担をかけない、日光の照りかえりがなく競技者・観客の双方にとつて見やすい、硬軟両式テニスに使用できる、などの特徴がある
  • 写真16面のテニスコートの中央に位置するセンターコートクラブハウス。男女別のシャワー・ロッカールーム、事務室、軽食喫茶室、会議室、貴賓室などがあり、クラブハウスからセンターコートへは1階から地下道でコートへ、2階からはデッキで観客席へ出られる
  • 写真

    市営高速鉄道西神線の難工事のーつ、神戸総合運動公園陸上競技場南西で国鉄新幹線とーの子川をまたぐ高架橋にもすでにレールが敷設された

    写真急ピッチで建設の進む市営高速鉄道総合運動公園駅
  • 写真市営高速鉄道研究学園都市駅西方上空から東へ神戸総合運動公園、名谷地区を望む。写真中央部に見えるのが駅舎で、その手前両側付近がユニバーシアード神戸大会の選手村になる
  • 写真選手村近くの橋のらんかんに取り付けられたユニバーシアード神戸大会のシンボルマークと、西神ニュータウンへ向けてさらに西へ伸びる市営高速鉄道
  • 写真建設中の神戸市外国語大学

市民が支える神戸ユニバーシアード

 ユニバーシアードのような国際総合スポーツ大会を神戸で開催することには、

(1)青少年の健全育成と国際人の養成
(2)スポーツの振興と施設の整備
(3)都市施設の整備と経済の発展
(4)国際港湾都市、コンベンション都市としての一層の飛躍

といった意義・効果が認められる。
 とりわけ、こうしたイベントがもつ魅力のひとつが、市民ぐるみ、都市ぐるみでエベントを成功させようとするエネルギーの噴出であるといっても過言ではない。昨年行われたエドモントン大会では、約1万3千人のボランティアが、大会運営に協力していたといわれている。
 神戸市でも、昨年12月に、「神戸ユニバーシアード推進協議会」が結成され、大会の成功へ向けてさまざまな運動を展開している。協議会には、ふれあい、文化、募金、ボランティアの四つの部会が置かれ、現在、青少年、経済、スポーツ、婦人等約560団体が参加している。

"すてきだね KOBE" ―ふれあい市民運動

 ユニバーシアード神戸大会にあたり、市民が一体となって、

(1)世界各国からの選手、役員を温かく迎え、応援し、国際交流をすすめる
(2)神戸を訪れる人々を、きれいなまち、温かい親切な心で迎える
(3)「緑と心のふれあいのまちこうべ」をつくりあげる

などを目標に、"ふれあいの輪"を育て、ひろげていくこととしている。
 ふれあい部会では、@スポーツに親しむまちA親切な心のまちBきれいなまちCルールをまもるまち―の四つをテーマに、ひろく市民公募で選はれた"すてきだね KOBE"をキャッチフレーズにして運動が展開されることになっている。

"愛 CIAO KOBE" ―文化の祭典を演出

 国際青年年に開催される"若人の祭典"。その意義深さをいまさら繰り返す必要もないが、スポーツ競技とあわせて国際色豊かな催しを多彩にくりひろげ、それらを通して市民が大会の開催をともに歓び、大会参加者との国際交流をすすめることとしている。
 このため、第1期(5月中旬〜7月中旬)を「神戸のまつり」、第2期(7日中旬〜8月中旬)を「世界のまつり」、第3期(8月中旬〜9月初旬)を「日本のまつり」、とそれぞれテーマを定め、"愛 CIAO KOBE'85―ユニバーシアードフェスティバル"として、3か月半に及ぶ壮大な「文化の祭典」を演出していく予定である。

大会運営を支える ―ボランティア部会

 選手、役員等の通訳をはじめ、競技会場での運営補助、会場周辺整理、身体障害者の介助、清掃……。大会をス厶ーズに運営していくには、様々な分野でのボランティアの人たちの参加が不可欠となる。
 ユニバーシアードを機に、市民があげて奉仕するという精神をもりあげ、市民参加の、市民が支える大会として成功に導いていただきたいものである。

コウべグリーンエキスポ'85を併催 ―「人と緑のふれあい」をテーマに

写真

ユニバーシアード神戸大会まであと500日を記念して行われた「大会テーマソング・音頭発表会」(本年4月、神戸文化ホール大ホールで)

 昭和60年7月21日(日)から11月4日までの107日間、ユニバーシアードのメイン会場・神戸総合運動公園で、花と緑の博覧会"コウペグリーンエキスポ'85"が開催される。
 大花壇に囲まれたエベント会場のあるシンボルゾーン、「緑の世界」「水の街」の2つの区域にパビリオンがならぶテーマゾーン、自然と動物たちに囲まれたウッドランドゾーン、スポーツランドを中心に、緑と健康がテーマのファンタジーゾーン、大型遊具のあるアドベンチャーゾーンの5ゾーンで構成されることになっている。
 "人と緑のふれあい"をメインテーマにユニバーシアードの文化行事の一環として、また、グリーンコウベ作戦十五周年記念として開催されるものである。

サッカーを皮切りにリハーサル大会 ―多彩な催しの前年祭

 神戸総合運動公園陸上競技場、ワールド記念ホールなど新設競技会場のお披露目と足馴らし、本大会へ向けての厶ードの盛りあがりを期待して、全10競技にわたってリハーサル大会を行っていくことになっている。(日程は別表のとおり)
 また8月24日から3日間は、大会1年前を記念して、前年祭「神戸ユニバーシアードカーニバル'84」を開催する。各種コンサートやスポーツオリエンテーリング、スポーツデモンストレーションなど多彩なエベントが、ポートアイランドで繰りひろげられる予定である。

1985年ユニバーシアード神戸大会リハーサル大会一覧表
競技名 大会名 期日及び期間 本会場
陸上競技 天皇賜杯 第53回
日本学生陸上競技対校選手権大会
S 59.10月5日(金)〜7日(日) 神戸総合運動公園
陸上競技場
バスケットボール 高松宮賜杯 男子第36回 女子第31回
全日本学生バスケットボール選手権大会
S 60.1月8日(火)〜13日(日) 中央体育館
ワールド記念ホール
フェンシング 1984 全日本学生フェンシング選手権大会 S 59.12月3日(月)〜9日(日) 国際展示場
体操競技 第38回全日本体操競技選手権大会 S 59.11月9日(金)〜11日(日) ワールド記念ホール
競泳
飛込
水球
第60川日本学生選手権水泳競技大会 S 59.9月2日(日)〜6日(木) ポートアイランドプール
テニス 第8回アジアアマチュアテニス選手権大会 S 59.10月30日(火)〜11月4日(日) 神戸総合運動公園
テニスコート
バレーボール 昭和59年度 秩父宮妃賜杯
全日本バレーボール大学女子選手権大会
S 59. 8月24日(金)〜28日(火) 中央体育館
甲南大学体育館
王子体育館
柔道 第16回全日本新人体重別柔道選手権大会 S 59.11月25日(日) 中央体育館
サッカー 第8回総理大臣杯
全日本大学サッカートーナメント
S 59.8月22日(水)〜25日(土) 神戸中央球技場
王子陸上競技場
尼崎陸上競技場
(60年度実施の水球、柔道は除いています。)
  • 写真

    ユニバーシアード神戸大会の入賞メダル表面(左)と裏面(右上)。右下は参加賞メダル。入賞メダルは金、銀、銅とも直径60ミリ、厚さ5ミリ。表面は飛躍する青年を中心に太陽、海をデザイン化したもので、神戸市出身の彫刻家、柳原義達さんが製作した。裏面は「U」の文字と5つの星、「UNIVERSIADE KOBE'85」の文字を刻んでいる

    写真ユニバーシアード神戸大会まであと「381日」の残日表示計(さんちかインフォメーションこうべ)
  • 写真ユニバーシアード神戸大会の表彰状のデザイン見本。兵庫県産の和紙に、神戸市民の花アジサイの花びらがすき込んである
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完成間近い神戸総合運動公園陸上競技場。スポーツ都市・神戸のシンボルとして、神戸らしい特徴を数多く備えている
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'85ユニバーシアード神戸大会 競技場・競技日程、マラソンコース
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