264号表紙

No.264(平成6年10月)

特集:

神戸の農業

神戸の農業

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豊かに実った稲穂と西神ニュータウン。都市生活と農業のかかわりは、こんなに身近なものになっている(西区平野町)

神戸市は近畿でも有数の農業地帯

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  • 写真西区神出町の観光農園で掘り出した大きないもを手に喜ぶ子供
  • 写真木見市民農園。広々とした自然の中で土に親しむ市民農園は近ごろ人気が高い(西区押部谷町)
  • 写真伊川谷町は野菜のハウス栽培が盛んである。まぶしく光るビニールハウスの向こうに市営地下鉄がのどかに走っている。その向こうに明石海峡大橋の主塔の頭の部分が見える
  • 写真キャベツ畑(岩岡町)。キャベツは同町を中心に集団的に栽培され、生産量は県内産の3割程度を占めている。販売は、農業協同組合が一手にまとめて阪神の市場に安定供給しているが、特に神戸市場には、市の契約栽培により重点的に出荷されている

ハウス栽培

野菜契約栽培事業
 野菜は、天候の影響を大きく受けるだけに生産が不安定で、市場価格の変動も激しい。このため市では、市内産の野菜を計画的に栽培し、神戸市場(しじょう)へ計画的に出荷することにより、野茶の価格安定をすすめるため20年前からこの事業を実施。最近では、年間の契約栽培量は約10,000tにのぼり、農業の将来に希望を持つようになった若い人たちが専業で従事するケ−スも増え、後継者不足の解消に役立っている。
 対象品目は、キャベツ、はくさい、きくな、ほうれん草、大根、トマト、なす、きゅうり、レタス、青ねぎ、にら、その他軟弱(しろな、小松菜、チングンサイ)の12品目。
  • 写真チンゲンサイ(西区伊川谷町)。中国野菜の代表格。消費者の多様なニーズに対応し、昭和六十一年度から野菜契約栽培の対象品目になった
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    きくな(伊川谷町)。都市近郊の栽培に適した軟弱野菜で、鮮度の良さから市場の人気も良い。神戸市場の市場占有率は九〇%以上

    写真畝立て(伊川谷町)。収穫が終わると、休む間もなく畝立てを行い次の栽培に備える。ビニールハウスは自動灌(かん)水装置を完備している
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    ほうれん草(北区大沢町)。きくなと同様、ビニールハウスによる施設栽培と露地栽培を組み合わせて周年栽培・出荷している農家が多い

    写真青ねぎ(大沢町)。抗菌作用のある栄養野菜。西区、北区とも生産量は大きく延びている
  • 写真トマト(西区岩岡町)。西区では、ビニールハウスを利用した無加温・抑制などの多様な栽培形態がとられ、北区では、夏場の昼夜間の温度差が大きいことを利用して、露地栽培による北神トマトが栽培されている

花の栽培

  • 写真きくの出荷前の切り取り。切り花生産量が最も多いきくは、市内では押部谷町と北区山田町で主に栽培され、鮮明な花色と日持ちの良いことから、"押部のきく""山田のきく"として広く知られている(押部谷町)
  • 写真山田のきくは、二輪咲き(一茎に二輪の花を咲かせる)に特徴がある
  • 写真気品の漂う露地栽培のきく(押部谷町)。押部のきくは大輪、一輪咲きが特徴
中央卸売市場東部市場(花き部)での押部のきく(上)と、山田のきく(下)のせり風景。花のせりは以前は午後に行われていたが、鮮度の関係で今年6月より朝7時30分から行われるようになった。同市場は関西で唯一の花の公設市場

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    押部のきく

    写真山田のきく
  • 写真せりが終わって、花屋さんの店頭へ
  • 写真店先で、いろいろな花に混じって美しさを競う押部と山田のきく

「神戸ライス(大沢)」の生産・供給

 北区大沢町の農家二十一戸が栽培した有機栽培米を「神戸ライス(大沢)」と称し、消費者に販売する新しい試みが行われている。
 フルーツ・フラワーパークを運営している市園芸振興基金協会が企画したもので、地元産の安全でおいしいコメを提供することで農業に対する消費者の理解を深め、農業経営の安定を図ろうと実施。今年の収穫見込みは約三十トン、提供対象の市民も百戸(募集済み)とまだわずかだが、来年からは栽培面積を広げ、募集枠も増やす予定。
 「生産者の顔の見える、安全で、おいしい米づくり」を基本に、産地と消費者の交流を進める水田の見学ツアーや、稲刈り体験などのイベントも行われた。

  • 写真今年六月の田植えのあと、害虫駆除のため農薬を使わずカモを水田に放った
  • 写真肥料は有機物だけ、化学肥料は一切使っていない
  • 写真除草作業も頻繁に
  • 写真神戸ライスの稲刈り体験。都市と農村の交流事業として、フルーツ・フラワーパークが行った「むかし体験・美食会」(10月2日)
  • 写真最新のコンバインによる刈り取り。刈り取りと脱穀を同時にこなす
  • 写真神戸ライスの精米所を見る参加者
  • 写真精米所での袋詰め作業
  • 写真戦前の足踏み式脱穀機を体験する親子
  • 写真神戸ライスのおにぎりを食べる参加者。「おいしい!」
  • 写真大沢町の棚田。大沢町では、約260戸の農家が計約127haの水田でコメを作っているが、神戸ライスの栽培までは有機米を栽培している農家は1軒もなかった

すっかリ定着した朝市

 地元産の新鮮な野菜・果物・花などをそのまま消費者へ―。農業公園で毎日曜日に開かれている朝市はもうすっかり定着。朝7時前から続々と車などでやって来る人でにぎわい、生産者と消賛者のなごやかなふれあいの中でみるみる商品ははけていく。
 常連客が多く、品物選びは早い。ピークは7時からせいぜい半時間ぐらいで、それを過ぎると水がひくように人出はまばらになってしまう。「何が新鮮で安いか、お客さんはよく知ってるね。とにかく勝負が早くて気持ちいいよ」と生産者。朝市の時間帯は入園・駐車料金とも無料。
問い合わせは、農業公園TEL991-3911へ。なお、フルーツ・フラワーパーク(TEL954-1000)でも、同様に行われている。

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バイテク技術で地域農業を振興

 フルーツ・フラワーパークの園芸バイテク館では、バイテクによる優秀な果実・花の無菌苗づくりや、新しい品種の育成などに取り組んでいる。
 また、農業公園の神戸牛増殖館でも良質の肉牛を量産するため、あらかじめ質の良い雌牛から採取した卵子を人工受精させている。それを畜産農家に分けて別の乳牛に移殖することにより、安定した神戸ビーフの供給が可能となる。

  • 写真フラスコに植えた植物を無菌状態で育てる培養室(フルーツ・フラワーパーク 園芸バイテク館)
  • 写真植物の生長点の組織を、フラスコの中の栄養を含んだ培地に植える無菌室での作業
  • 写真採卵した雌牛。肉のおいしい牛が集められている
  • 写真受精卵で生まれた子牛
  • 写真顕微鏡で見ながら、受精卵を一つずつストロ一状の細い管に移す作業。これを凍結・保存して畜産農家に分ける(農業公園 神戸牛増殖館)

市民農園

 市では、野菜づくりを通じて農業への理解を深め、余暇活用の場として利用してもらうため市民農圃を開設している。好きな野菜や草花をつくり、育つ姿を見たり、収穫の喜びを味わったり、また、農村との交流の場として、多くの市民が楽しんでいる。
 市民農園には、市民いきがい農園(対象者・60歳以上)、ふれあい農園(家族単位)、大規模市民農園(家族かグループ)の3種類がある。現在、北・須磨・垂水・西区で63か所、約3,000区画の農園を開設。
問い合わせは、
●北区の市民農園…北農政事務所TEL982-7111●北区以外の市民農園…西農政事務所TEL975-5800●大規模市民農園…農政局生産振興課TEL322-5355へ。
 このほか、同じような貸農園、神戸ホビーファームもある。問い合わせは、●森林整備事務所TEL371-5937●市観光園芸協会TEL961-1277へ。
ただし、今年度分は、募集済。来年度分は来年2月ごろ募集予定。

  • 写真大規模市民農園「木見市民農園」(西区押部谷町木見)。一・三haの広い農園のほかに、シャワーを備えた休憩所やバーベキューもできる広場などが整備されており、長時間滞在型
  • 写真努力はやはり実ります
  • 写真健康にいいですよ
  • 写真夫婦のコミュニケーション
  • 写真神戸ホビーファーム(西区伊川谷町)
  • 写真神戸ホビーファーム(西区伊川谷町)

観光農園

 春から初夏にかけて「いちご」、夏は「ぶどう」、8月下旬から初秋が「なし」、そして秋の「いも掘り」「かき狩り」と、冬を除き西・北・垂水区で手軽に観光農業が楽しめる。自然の中で、もぎ立てをほおばる味覚はまた格別だ。
問い合わせは、市観光園芸協会TEL961-1277へ。

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  • 写真いも掘りを楽しむ幼稚園児(西区神出町)
  • 写真十一月二十七日まで開園しているかき園(西区櫨谷町)

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今年の神戸蘭展

神戸蘭展

 昨年から開催し、好評を得ている国際蘭展。世界各国から三万株もの出品があり即売会などとあわせ、大いに盛り上がる。
 来年の三月二十九日(水)から四月二日(日)まで行われる今回は、市民が、自分で栽培した蘭を展示できる自由参加コーナーを設置する。
 なお、十一月三十日(水)まで出展者を募集中。
問い合わせは、神戸蘭展事務局TEL三二二−五三六〇へ。

昭和40年代の写真募集!!
 神戸の風俗や生活がわかるもので、写真は返却します。連絡、郵送は、神戸市広報課「市民のグラフこうべ」係まで。十一月三十日(水)必着です。
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豊かな実り神戸の酒米

稲穂が重そうに垂れた北区淡河町南僧尾の田園風景。山田錦の名で全国的に知られる神戸の酒米は、主として淡河町・大沢町などで、昼夜の温度差が大きく、土壌条件にめぐまれた地域の特性をいかして生産されている。南に連なっている山は山田町の丹生・帝釈山系。
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